安定した収入も、高利回りもまずは物件選びから。
初めての方のために、ファイナンシャルプランナーが仕事上よく聞かれるご質問をまとめました。
不動産投資というとどういったことを思い浮かべますか?
よく不動産投資に関してハイリスク・ハイリターンなどと言われますが、投資にリスクは付き物です。
ではどうやってリスクを少なくするか。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と昔から言いますが、
まずはどんなリスクがあってどう対処していけばよいのか、それを知ることが大切です。
これら不動産投資のリスクとそれに対するアドバイスを書いていきたいと思います。
1. 物件価格低下のリスク
不動産投資において、いずれ投資物件の売却を考えている方は自分がその物件を売る時に資産価値がどうなってしまうのか、というのは大変気になる問題です。
また売却は考えずにいずれ自分が住むつもりで物件購入を考えられている方でも物件の評価は頭に入れておきたいところです。
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おおよそ不動産の物件は土地と建物によって成り立っていて、投資の方法としては土地に投資してその土地を運営して収益を上げる、
アパートなどの一棟売りに投資して収入を得る、マンションなどの1室を買ってその賃料収入を得るなどあります。
とりあえず土地と建物を分けて考えてみることにします。
まずは土地です。土地価格はバブル以降全国的に下落傾向でしたが、ここにきて都心では下げ止まりあるいは上昇に転じている地域もあります。
全般的に住宅地よりも商業地においてその傾向が強く、都心以外でも主要ターミナル駅周辺の商業地では下げ止まりの傾向が現れてきており、商業地のこうした傾向はしばらく続くとの見方もあります。
地価の動きに関しては国土交通省が毎年1月1日に出す公示価格を参考にするといいですね。
またバブル期に良く見られた売却益(キャピタルゲイン)を狙うやり方に関しては、都心の一部でそのような動きが見られるものの、郊外、住宅地ではまだ期待しないほうが良いのではないかと思います。
次に建物のほうですがこれは年を経るごとに劣化、陳腐化していくのはいたし方の無いところです。
よほどの短期投資ではない限り、将来的には家賃の値下がり、資産価値の低下は織り込んでおくべきだと思います。
それを踏まえたうえで必要以上に価値を下げない為に、しっかりとした管理・補修が成されている必要があります。
例えばモルタルが剥げていたり、階段が錆びていたり、廊下にゴミが散らかっているような建物に住みたいという人がいるでしょうか?
「マンションは管理を買え」といわれますがまさしくそのとおりで、購入を検討される際は管理会社、実際の管理状態ぐらいは調べておいたほうが良いでしょう。
また、幹線道路沿い、線路沿いは通常よりも痛みや汚れが早く訪れるので注意が必要です。
まとめますと、都心や主要ターミナル駅の駅周辺、管理の行き届いた物件ということになります。
それに周辺環境を加味して決めると下落リスクは低く抑えられるのではないでしょうか。条件が良くても周囲に高い建物があって日がまったく当たらなくては台無しですからね。
2. 家賃低下のリスク
マンション一棟、あるいは一室を購入しその家賃収益を狙う(インカムゲイン)といった投資方法では当然に考えておかねばならないリスクです。
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はっきり言ってしまえば5年、10年と運営を続けていけばいずれ家賃は下がります。建ててから年月を経ればその間にできた新築とくらべ建物自体の劣化や設備の面で劣るのは仕方の無いところです。
ではその新築とどこで勝負するのか?と言えばやはり思い切ったリフォームをするか、家賃を下げる、と言うのが一般的でしょう。
家賃低下のリスクを軽減させるには、これは先に書きました建物資産価値の軽減を防ぐ手段と同じように、都心や主要ターミナル駅の駅周辺、管理の行き届いた物件ということになります。
10年間での価格水準の目安としては首都圏で駅から徒歩4分までの物件で新築時のおよそ6~7割、5~10分で6割、20分を越えた物件は5割5分といった具合です。
3. 空室が続くリスク
せっかく投資した物件に人が入らない、これはもうリスクと言うより恐怖です。ただひたすらランニングコストだけを食う金食い虫で収益以前の問題でしょう。
こういったことを避ける為に物件購入前の下調べはもちろんのこと、買った後の管理も大切になってきます。
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ゴミの清掃やちょっとした修繕など日常的な管理もさることながら中期的、長期的な補修計画と言うのも見据えておかなければなりません。
また旧式化し陳腐化した物件の設備を新しいもの変えるというのも方法としては有効でしょう。
とはいえ個人でアパートを管理すると言っても限界があるので、多くの投資家は管理のほうを管理会社のほうに委託することになると思います。
購入前に管理会社の評判をインターネット等で調べたり、時間があれば実際にその会社が管理している他の物件を見たりすると良いでしょう。
また、購入後自分が所有しているアパートに一度も足を運ばない人がいる、という話も聞きますが、きちんとした管理会社ならいいのですが、いい加減な会社ならどんなことになっているか分かったもんじゃありません。
せっかく自分で買った物件です。時には現況を確認しておきましょう。最低限自分が住みたいと思うような物件でなければ、人も住みたいとは思わないぐらいに思っておいたほうがいいと思います。
4. ランニングコストとは
アパートなどを購入後ランニングコストとして借入金元金、借入金利息、管理費、修繕費(修繕積立金)固定資産税等がかかります。
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●修繕費
修繕は基本的に修繕積立金から資金を出す事になりますが、大規模なリフォームとなると数百万、時に一千万円を超えることがあります。
こういった場合たいてい費用はアパートの所有者、もしくは管理組合、共同所有者がいる場合はその費用を持分に合わせて按分します。
通常モルタルの塗り直しや屋根の葺き替えなどは7~10年に一度と言われています。そのころに大規模な修繕があると見てよいでしょう。
もっともこういった修繕が他の共同所有者や管理組合との間で揉め事の原因になってしまい、修繕自体が出来ない状態になってしまっている物件もある様なので注意が必要です。
こういったトラブルを避ける為に日常的な管理・補修だけでなく、中期的、長期的な補修計画を事前に話し合っておくことも大切です。
またオーナーチェンジでしたらこの先の修繕計画などを聞いておくことも大切です。
5. インフレとデフレ
さて、インフレになった場合、デフレになった場合、それぞれどんな影響があるのでしょうか。
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●インフレの場合
金利と土地価格が上がります。相対的に現金の価値が下がります。
したがって土地の資産価値の上昇、家賃上昇の期待が出来る反面、ローンで物件を購入した場合の返済金利も上がってしまいます。
●デフレの場合
金利と土地価格が下がります。相対的に現金の価値が上がります。
したがって土地の資産価値の下落、家賃下落の可能性が高まります。ローンで物件を買った場合の返済金利は下がります。
と、インフレ時、デフレ時の特徴を書きましたが現在はまだデフレから脱却したとはいえない状態です。
しかし、一連の金融緩和策で金利はこれ以上下げられない段階まで下がっており、将来的には上がる方向性しか見出せません。
少ない自己資金で高利回り(レバレッジ効果)を狙うには当然こうした金利上昇時のリスクを抑えておく必要があります。
金利がいつ上昇するかは専門家の間でも意見が分かれていて難しいところなのですが、金利上昇時に備える為に固定金利でローンを組むとリスクヘッジになると思います。
6. 低換金性のリスク
同じものがいくつもある株や預金、投資信託と違い不動産は世界でふたつと同じものがないため流動性が低く、そのためすぐに換金してお金に変えるというのは難しいのです。
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以上のことを頭に入れた上で投入する資金には手元に余裕もって投資を行うべきで、生活資金まで投入するような事はやめましょう。
不動産投資には少ない自己資金で始められるという利点があります。無理をせず自分の資金状況に合わせて投資設計を考えていきたいものです。
7. レバレッジ効果とは?
上で述べましたように少ない自己資金で始められる不動産投資。少ない資金で高利回り効果を得られること、これがレバレッジ効果です。
その仕組みはいたって簡単、購入する不動産を担保に銀行から借り入れが出来るからです。
銀行の審査さえ通ってしまえば実際の物件価格の一割程度の頭金と仲介手数料などの諸費用だけで運用を開始する事が可能なのです。
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2000万円の物件を2000万円+諸費用の自己資金で買って年間120万円の収入を得る。(投資金に対しての利回り6%)
2000万円の物件を300万円+諸費用の自己資金で買って年間120万円収入から約28.7万円の利息を払い実質71.3万円の収入を得る。(投資金に対しての利回り23.7%)
(ローンは固定金利3%、25年で計算)
この2つを比べた時に投資金に対しての利回りの点で自己資金が少ないほうが多いほうを上回ってますね。
さらにかつて無い現在の低金利はローンの支払を圧縮してくれるはずでより大きな効果が期待できます。
このように初期投資が少ないほどレバレッジ効果は大きくなるのですが、ひとつ問題があります。それが逆レバレッジ効果です。
8. 逆レバレッジ効果
レバレッジ効果は利回り>利息(分かりやすくいうと、収入>利払い)の時にその効用を増幅させてくれますが、利回り<利息の時にもその効用を増幅させてしまうのです。
これが不動産投資がハイリスク・ハイリターンと呼ばれる所以なのです。原因としては空室が続いて収入が無かった場合、また金利が上がった場合などが考えられます。
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以上を考慮したうえで、始めに自己資金を調節する事によって利払いの大きさを調節することをおすすめします。
極論を言えば始めから全額キャッシュで買ってしまえば利払いは発生しないわけで、かかるのは維持費だけ。これが一番リスクが少ないわけです。
逆に選んだ物件に自信がある時は少ない元金で高利回りを狙ってもいいでしょう。
またローンを組んでおいて余裕のあるときに繰り上げ返済をしてしまう手もあります。
購入時に長期的なプランニングをしておくことが、後になってこんなはずじゃなかったと後悔させない何よりのリスクヘッジだと思います。
9. 利回りについて
広告などでうたわれている利回りは表面利回りと呼ばれている、単純に年間収入を物件価格で割ったものになっていることが多いです。
しかし実際には購入時には諸費用、購入後にはランニングコストがかかるわけですからこれらを加味した利回りで考えていかなければなりません。
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つまり
実質利回り=(家賃収入-ランニングコスト)÷(物件価格+諸費用)
となるわけです。物件購入の際はぜひ頭に入れておいてください。
10. 税金対策
不動産投資でえた収入にはランニングコストがかかることは繰り返し述べてきましたが、その中でローン金利、管理費、修繕費、火災保険といったものは必要経費として計上する事が出来ます。
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そしてもうひとつ減価償却費という帳簿上のマイナスも必要経費として計上出るのです。いぜん述べたように建物は年々劣化しています。この劣化分を損失として計上するのが減価償却なのです。
どこに何を支払っているわけでもないので帳簿上だけとなるのは当然と言えば当然なのですが。
このどこに支払っているわけではない帳簿上のマイナスを必要経費に組み入れることで節税対策となるわけです。
11. 相続税
不動産投資を行っている場合のメリットとして相続税対策が出来る、という点が上げられます。
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相続時に不動産は評価額で課税されるのですが、建物は購入時のおよそ50%、土地は公示価格の80%ぐらいで評価されます。
さらに賃貸物件の場合はさらに評価額を下げ、実際の評価額の40~50%まで抑えることが出来ます。
時価で評価される現金や株式を保有している場合よりもぐっとお得であると言えます。
12. ファイナンシャルプランナー
大切な資産の運用についてあれこれとアドバイスしてきましたが、現実問題として一番厄介なのは資金の計算ではないでしょうか。
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税金、金利、諸費用、ランニングコストetc・・・
投資になれている方でもこういった数字の計算は難しいものです。自分でなかなか数字が出せない方や、自分の出した数字に自信のもてない方はファイナンシャルプランナーを活用しましょう。
彼らは投資に関する税金、コスト計算から生涯設計のプランニングまで幅広くアドバイスしてくれるはずです。それが彼らの仕事なのですから。
弊社にはファイナンシャルプランナーが常勤しておりますので、不動産投資の実質利回り計算からローン返済のことまで分からないことがあったらどんどん利用して、ご自身の投資にお役立てください。
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